初心者のためのTHE BACK HORN
初めましての方は初めまして。
ご無沙汰の方はご無沙汰しております。
サンドパン(Pの姿)という者です。
今回は私が愛してやまないロックバンド、THE BACK HORNについて書きたいと思います。
最初に断っておくと、私は彼らの曲をただただ聴いているだけで、バンドそのものについてはニワカもいいところなので、銀河遊牧民のお兄様お姉さまはどうか生温かい目で見守ってやって下さい。
1.書こうと思ったきっかけ
新曲がカッコよかったから
サムネが怖い。
あまりにもバックホーンについて知っている人が周りにいないので、去年あたりから標題で書こうとは思っていたのですが惰性で放置していたので、そこに火が点いたという訳です。
昨年の12月にリリースされたシングルを今更聴いたのですが、想像以上に良くてビックリしました。
何が刺さったのか具体的なことについては後述しますが、曲に加えてMVがかっこよくて何度も見返しています。
どうやってそこに機材運んだの...
2.どんなバンドなのか
4ピースのバンド。(左からベース、ギター、ボーカル、ドラム)
1998年結成なので、2022年で24年目を迎えたりします。
初期にベースが代わっただけで、それ以降は同じメンバーで活動しているので、仲が良いというか、皆同じ方向を向いて活動できている印象があります。
男くさくてダサいバンド
自分が知り合い数人にバクホンについて聞いたところ、
「知らない」「激しい」「叫んでる」「闇」
という答えが返ってきて、世の中的にそういうイメージであることが分かりました。
安心してください。
だいたい合っています。
個人的にはそれに加え、「男くさくてダサいバンド」だと思います。
髭男さんのような女の子受けよさそうなオシャレなバンドが流行している中、わが道を行かんと言わんばかりにぼくたちロックバンドですみたいな曲ばかり出しています。
一応フォローすると、2010年代のバックホーンは結構新しいことに挑戦し続けていて、その時の流行っぽいものや今までやってこなかった要素を取り込んで曲作りしている印象があるのですが、とりあえずなんかダサくなります。
例えば、ちょっとジャジーでオシャレな感じのイントロで始まる曲があるんですが、
ボーカルの山田将司が歌い始めた途端に曲が『男』になってしまうんですよね。
内容的にもそういう曲なので、まぁ当然といえば当然なんですが。
一貫して歌っているテーマがそもそも陰気くさくてダサいのもあり、結果何をやってもTHE BACK HORNになってしまうんです。
そこが魅力なのは間違いないですし、安心感があるといえば聞こえはいいんですが。
既存ファンは掴んで離さないけど、いかんせん歴も長いし、なかなか新規ファンはつかないだろうなぁという印象です。
ただバクホンのことが分かってくると、初見の時に「うわ、なんだこれ」と思わず心の声が漏れてしまった曲も不思議と癖になってくるのです。
なんというか、THE BACK HORNなんですよね。(みつを)
彼らが歌うテーマ
序盤にてネタバレになってしまいますが、THE BACK HORNが一貫して歌っているのは「生と死」についてです。
喪失感、承認欲、嫉妬、暴力、性欲など、あまり表立って言うことはできない人間の汚い部分、されど生きていく上で手放すことのできない根本的な欲求について歌うことが多いです。
そしてその中にはいつでも死の影がチラついていて、何としてもそれを吹き飛ばさんと音楽をやっているように見えます。
生への執着がすごいです。
~隙あらば自分語りも交えて~
ボーカルの山田将司がガナり散らすような歌い方をするので、慣れないうちは単純に怖いですし、最早歌うというよりもただ叫んでいるだけみたいな曲もあります。
私は「この人はなんでこんなに苦しそうに歌うんだろう?」というのが気になって聴き始めました。
山田さんは普通に歌うととても上手いので、ますます不思議になりました。
初めてライブを見に行くと、彼はステージでのたうち回りながら大声を上げていて、そこには一般人が想像するような音楽的な調和はなく(喉の不調がかなり大きかったようですが)、俺は何を見せられているんだろうと呆然としました。
彼らのステージには、まさに彼らの生き様があったわけです。私は聴き始めた当初、人生的にあまり上手くいっていなかった時期だったというのもあり、そんな生命力溢れる彼らの音楽に惹かれてハマっていきました。
3行で説明するとそういうバンドです。
知名度
よく分かりません。
24年という活動歴、youtubeのチャンネル登録者数は3万人という数字を見るとそこそこ有名なのではと思うのですが、
LINEの投稿なんかは毎回♡20個ないくらいだし、
新宿西口の街頭ビジョンで特集映像を流すというので見に行ったら、大勢の人が行き交う中でビジョンを見上げているのは自分含め2人しかいませんでした。
おまけにちゃんと曲を聴いたことがあるという人には1人しか出会ったことがありません。
もしかして俺以外に聴いている人間、いないんじゃないか...と毎日思っているので、ライブへ行く度に感動を覚えます。
まだまだ書き足りないですが、このリビドーを解放してしまうと初心者向けの記事でなくなってしまうのでとりあえずこの辺で。
3.代表的な曲
きっとあなたも知っているであろう曲です。
罠
ガンダム00の主題歌だったおかげで、バクホンで一番知名度があると思われる曲。
バンド好きだけでなくアニメが好きな人も引っかかってくれるので、他人にバクホンについて説明する際のジャブとして最も有能です。
個人的にはあまり聴きこんでいない上にガンダムも見ていないので、今のところそんなにハマっていないです。
ちなみに私は友人に「あー!あれでしょ!『罪』とか『罰』みたいな曲!」と言われて、図らずも分かるマンになってしまいました。
コバルトブルー
ケロッグのコーンフレーク(コーンフロスティ)のCMでお茶の間に流れていたという伝説的な曲。
ギャグMADみたいに見える。
これが意味するのは、全国の小学生諸君は夏休みの間、毎朝バックホーンを摂取しているということです。
日本の未来は明るい。
曲が作られた背景を知っていると、何故この曲を採用したのか広報担当者の正気を疑うところですが、疾走感があって曲の内容もとてもバクホンらしい曲なので、入門書としてもオススメだと思います。
戦う君よ
特に何かにタイアップされたわけではなさそうですが、ぼく代表曲ですみたいな顔をしている(と私は思っている)曲です。
ストレートで硬派なバクホンらしい応援歌で、あまりギャーギャーもしていないのでかなり聴きやすいです。
拾うべきネタとしては、僕のヒーローアカデミアの作者さんがtwitterで言及したことがあったみたいです。
余談ですが今回のお話を描いてた当時は、イメージを盛り上げるにあたって、ヒロアカ関連の曲じゃないけどTHE BACK HORNさんの「戦う君よ」を流してました。音楽に助けられることが多いです。
— 堀越耕平 (@horikoshiko) 2018年6月16日
ヒロアカは壊理ちゃんが出てくる辺りまでしか履修できていないのですが、かなりバクホンと親和性が高いと思うので、ヒロアカファンの人には是非色んな曲を聴いていただきたいですね。
4.サンドパンが選ぶ初心者にオススメしたい曲3選
本題です。
なるべくソフトに仕上げようとしてちょっと漏れちゃいました。
声
疾走感があって、歌詞の内容もさっぱりしており、このバンドで一番聴きやすいんじゃないかと思う曲です。
他人とカラオケに行った時にも安心して歌える、といえば何となく伝わるでしょうか。
パワフルなロキノン曲といった印象。
サニー
メジャーでの1stシングルです。
私がTHE BACK HORNを聴き始めたきっかけの曲です。
大人と子供という誰もが体験したことのある理不尽なヒエラルキー、彼らに対する不信、恐怖、悔恨、無力感、と負の因子がここぞとばかりに詰め込まれていて、
初期バクホンの魅力を正に体現していると思います。
この時点で完成形にあったといっても過言ではないVo山田将司のガナりは、無知な少年の粋がり、社会を睨みつけるギラついた眼差しを見事に表現し切っています。
バクホンの大きな魅力の一つですが、そこで打ちのめされて終わりではなく泥まみれになりながらも唾を吐き捨てて歩いていくところも押さえられています。
初期バクホンが死神と言われている片鱗を覗き見ることができる上に、歌詞もVoのガナりも比較的ソフトなので、バクホン新規履修の際には是非味わって頂きたい一品です。
ちなみにサンドパン(Pの姿)はCメロが大好きです。
ガーデン
4thシングルのB面です。
ちょっとだけマニアックな気もしますが、私をバクホン沼に叩き落とした張本人なので書いておきます。
(余談ですがバクホンは捨て曲が一つもないと言われるくらい本当に良い作品を作ると言われていて、シングルのB面をまとめたアルバムが出ていたりします)
何を歌っているのか分かりにくい曲です。
分かりやすいメッセージ性のある曲ではありません。
個人的には、聴いていると一枚の絵画を鑑賞しているような気分になります。
あんなに叫び散らして苦しそうに歌い上げる人たちが、こんなにもさらっとした綺麗な世界を描けるのかというギャップと、
歌モノの音楽にはメッセージがつきものだと思い込んでいたので、こちらに何かを強要してこないというか、聴き手に関与してこない楽曲ってあるんだということにサンドパンは衝撃を受けた訳です。
美しい物語性が本当に大好きな曲なんですが、自分以外に世の中の誰も知らない(と思い込んでいる)曲なので、是非聴いていただきたいです。
エクストラ枠~ちょっと背伸びしたいあなたに~
さらば、あの日
www.youtube.com(2018年の再録版です)
インディーズ時代の曲。
私がTHE BACK HORNで一番好きな曲暫定1位です。
切羽詰まった動悸のようなイントロから始まり、夕焼けが浮かぶような切なげでどこか脱力感のあるメロディー、少年のあどけなさと狂暴さが共存したような歌声が見事にマッチしていてもうすごいです。
↑でリンクを貼ったメジャーでの再録版ではVoの声がだいぶ綺麗になっていますが、インディーズ版はもっとスレてとげとげしているのでオススメです。
歌を習ったことのない少年が力任せに歌っている感じが本当に堪りません。
インディーズ時代の曲を再録したインディーズベスト↑(上のやつ)があるため曲自体は聴けますが、当時のレコーディングを聴けるインディーズ版は廃盤になっています。
24年間のつながり
そしてこの曲、
1.書こうと思ったきっかけ
で挙げた新曲「希望を鳴らせ」と全く同じフレーズが出てきます。
20数年前に作られた曲と今作られた曲が繋がっているんですね。
見聞が狭いので、音楽的にはあまり珍しいことではないのかもしれませんが、仮にそうだったとしてもすごいことだと思います。
バクホン楽曲を一通り聴いてみると、『大人を信用できなかった少年が他人と触れ合いながら成長していく物語』のような、まるで誰かの人生をなぞっているようなドラマを彷彿とさせるんですが、
「この希望を鳴らせ」と「さらば、あの日」はまさにそれを体現していて、これは彼らが24年間歌い続けてきたことが一貫しているが故の芸当です。
あっぱれ。
好きです。
5.終わりに
いかがでしたでしょうか。
地味に情報量が多くなってしまった気がするので、そこまで初心者向けではなくなってしまったかもしれません。
許してください。
正直、比較的尖っているバンドなので万人受けするタイプではないと分かっていますが、文字通り彼らの作品に救われた身としては、THE BACK HORNいいなと思ってくれる人が一人でも増えたら嬉しいです。
また今回は自重した結果、バクホンの狂っているシーンについて全く書けなかったので、また機会があれば書きたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
是非ぼくと一緒に、THE BACK HORN少年に睨みつけられて昇天しましょう。
以上です。